<75> #4

2009-11-30 17:05:23

神奈川県教委からの回答

テーマ:PTA
・「自動加入」のPTAを百も承知で「優良PTA」として県や文科大臣に推薦した教育委員会の責任(10.8)

・横浜市教委との対話①(10.14)

上記記事の続報です。

(神奈川県教委からの回答)
本日、神奈川県教育委員会 教育局 生涯学習文化財課社会教育班に問い合わせをさせていただいた。
先日の問題提起に対する返答を伺うためだ。
優良PTA選出の直接の担当者のY氏が体調不良でお休みをされていたので、K氏が代りに応対してくださった(Y氏の上司の方だろうか)。

私の問題提起は、生涯学習文化財課でもんでいただけたようだ。
で、その結論は、

「自動加入」のPTAを優良PTAとして選出することに問題はない。
今後も従来の方針を変更することは特に考えていない。


というものだった。
K氏は、こうおっしゃった。
「自動加入を推奨しているわけではない。われわれとしても任意加入のほうを評価している。しかし、自動加入を規制する法律はないので、教委としてもダメですよと否定はできません。」

「百歩譲って否定はできないとしても、優良PTAとして選出し、文科大臣に推薦するのはPTAの趣旨からして不適切でしょう。」
と問うと、
先日の私からの申し入れを受け、文科省の担当部局に問い合わせたところ、「問題はない。」という返答を得たと言うのだ!


(文科省の「お墨付き」を得ての全員自動加入体制)
文科省いわく、「国の表彰要項には『自動加入』のPTAは推薦してはならないとはうたわれていません。」と。
その文科省の担当者の発言を踏まえ、神奈川県としては文科省(=選考者)の「お墨付きを得た」と考えたようだ。
なお、文科省の担当と直接話したのは、本日欠席のY氏であり、どこまでが文科省担当者の発言であり、どこからが神奈川県の判断かの微妙なところは、後日確認したい。
ただ、これだけは言えそうだ。
文科省の担当者から、神奈川県のやり方をたしなめるような話はまったくなかった、と…。
私は、この文科省の返答が神奈川県教委の「解釈と鑑賞」ではなく、かなり「事実」をふまえたものであるのなら、ほんとうにほんとうにがっかりである。
本日、文科省の担当係長氏は出張とのことだった。明日、ぜひ話を伺ってみたいと思っている。

文部省から教育委員会に対して出された三本の通知・通達(昭和23,29,42年)においても「任意加入」がはっきりとうたわれているではないか!と問いかけても、「それらも踏まえて文科省と相談して出た結論なので…。」
とのこと。
過去の通知・通達をどう読み解いたら、「自動加入」のPTAを優良PTAに選出してよいという結論が導き出されるのか? きっちりと文科省の見解を問うてみたい。

文部省発の通知・通達との整合性をめぐって神奈川県教委が言うのは次のようなロジックだった。
「望ましいあり方は確かに任意加入かもしれないが、PTAは任意団体なのだから、それぞれがその活動のあり方を決めるものであり、その内部で決められたことに対して、行政として口ははさめない。『全員加入』が問題ということなら、内部で話し合うべきことではないか。」

それに対しては、「『団体の任意性』をずいぶん大切にされているようだが、『個人の任意性』はどうなるのだ。『内部で話し合え』とおっしゃるが、新入生の保護者はまだPTAの会員ではないのだ。その『内部』に入るか否かの選択の自由を奪うのはおかしいといっているのだ。」
と反論した。
この点については、「なるほど。そうですね。」という反応だった。

さらに次のように続けた。

「そちらの部局では、人権教育の推進をされているようだが、『人権教育の在り方について』でうたわれている『すべての関係者の人権が尊重される場としての学校』という考え方を無視していいとは思えない。『人権』の中に自由権が含まれていることはもちろん、ご承知ですよね。」
この問いかけに対しても、反論はなかった。

生涯学習文化財課社会教育班の仕事には、「人権教育の推進」も含まれるのだ。
http://www.pref.kanagawa.jp/sosiki/kyouiku/4018/index.html
いったい、この人たちが「推進」しようとしている「人権」って、なんなのでしょうか?

(消費者契約法をめぐって)
「人権教育の在りかたについて」の中でうたわれている文言に加えて、消費者契約法の逐条解説において、PTAが「事業者」の中に数えられていることを指摘したら、先方の態度がずいぶん変わった。

「以前に文科省と話し合われたそうですが、その時も消費者契約法の話は出されましたか?」
と聞かれた。
「いえ。前回、担当係長氏とお話しさせてもらったときは、逐条解説のことは知りませんでしたから…。」
と答えた。

神奈川県教委が前回の私の申し入れを検討する際、消費者契約法はまったく意識していなかったようだ。
「消費者契約法も踏まえて、ぜひもう一度、PTAの加入のあり方についてご検討ください。」と申し上げ、本日の話し合いを終えた。

できるだけ早く、消費者契約法を踏まえて、文科省の担当係長氏と話し合う必要がありそうだ。

なお、神奈川県教委の返答はまことに残念なものであったが、とてもジェントルに応対してくださり(Y氏もそうであった)、こちらの話もよく聞いてもらえたし、また「担当のYも明日には復帰できると思いますので。」と、こちらとの話し合いの姿勢を閉ざされていないのは、救いであった。

まとめ
いやあ、今日は参りました。おなかが痛くなりました…。
しかし、これにめげずにガンガロ~。


追記
大事なことをご報告することを忘れていました。
「全員加入」のPTAを優良PTAとして表彰することをやめるつもりはないとする神奈川県教委なわけだが、同時に「文科省の選考基準が変われば、考え直す。あくまでも現状では、ということだ。」とも述べているのだ。
文科省の責任は、重大である…。

しかし、それにしても、文科省のPTA担当者は、「自分たちは、昭和42年の社会教育審議会の答申(局長名で各教育委員会に通知)に基づいてPTAに関わっている。」と述べ、その中にある任意加入をうたう文言を踏まえて、「全員加入体制は容認されるものではない。」とはっきり認めていたのだ。
こちらの記事です。

その彼らが、全員加入体制のPTAを優良PTAとして表彰することを容認するとは、とても信じがたいのだ。
いったいぜんたい、どうなっているのか、文科省の担当者に確認してみたい。





1 ■無題
>文科省いわく、「国の表彰要項には『自動加 入』のPTAは推薦してはならないとはうたわれていません。

すみません・・・大爆笑してしまいました。
あ~いえば、こ~いうって感じで(笑)

まるおさん・・・本当に頭が下がります。
信念を持って、行動を起こし、きっと、それで、ストレスを感じることも多いでしょうに・・・
いろいろありがとうございます。
私たち現場(?)も、少しずつ、改善できるように・・とは思っているのですが、なかなか・・・
でも、できるだけ、みんなが負担にならないように・・・ということだけは頭に置いて、活動している次第です・・・

2 ■そろそろ…。

そろそろ…、
「 この国のかたち 」がハッキリしてきたのでは
ないでしょうか…。

3 ■Re:無題
>たさりさん
コメント、ありがとうございます。

前回の記事で爆笑していただけたとしたら、今日のはお腹が千切れるのではないかと(笑)。

任意性を大切にしてのたさりさんのPTA運営は本当に勉強させていただいています。
ぜひ、文科省や教委のPTA担当の方々にも参考にしてもらいたいと思います。

それにしても、任意性を大切にするたさり方式はたぶん、『優良』PTAには選考されにくいですよね。
『優良』PTAには「あれもこれも・にぎにぎしく」やっていないと選出されない構造になっていますから…。

優良PTAに選出されるためには、例外はあるでしょうが、入会と活動において「強制」がないと無理なのではと思われます。
そういう意味でも、「優良PTA」という制度は、これから、もっともっと国民の批判に晒されるべきだと思っています。

4 ■Re:そろそろ…。
>里山たぬ子さん
>「 この国のかたち 」がハッキリしてきたのでは
ないでしょうか…。

うん。
ほんとうにそう思うよ。
かいつまんで言えば、「軽く扱われる主体性」、「この国における主体性の軽さ」ということかな。

「どうしてここまで『人の自由』を軽く扱えるのか?」
これが、PTA問題をめぐりいろいろな人と「対話」をしてきての、現時点での正直な感想。

で、自分としては、このことは、ベルク氏の著作などを通じ、日本語の問題とも完全に地続きだと思うようになってきた。
前からそういうような見通しはあったのだけれど、太い線でつながるようになってきたというか。

まあ、これじゃあ全然説明不足だとは思うけど、「軽く扱われる主体性」という観点で、これまで自分なりに追及してきた日本語の諸問題もやっと統一的に説明できるように思えてきたし、その観点は、そっくりそのままPTA問題にも当てはめられると思うようになってきた、と。

この観点、これから、気合を入れてアップしていきたいと思っています。
そして、そのことは、文科省や教委の担当者の方々との「対話」をより実のあるものにしてくれると信じています。

すみません。?の方は、寝言だと思って聞き流してくださいませ^_^;

参考文献
オギュスタン・ベルク「空間の日本文化」(ちくま学芸文庫)
同「風土の日本 自然と文化の通態」(同上)
池上嘉彦「日本語と日本語論」(同上)
森有正「経験と思想」岩波書店