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2009-12-03 18:36:19

文科省との対話(7)「優良」PTA選考をめぐる係長氏からの回答

テーマ:PTA
延び延びになってしまったが、一昨日(12/1)、文科省社会教育課地域学習活動推進係M係長に前回の申し入れに対する回答をうかがうことができた。
(回答をいただくのが延び延びになったのは当方の問題です。)
前回の申し入れとは、次の三つ。

***
①PTA担当部局と初等中等教育局とが連携しての「PTA全員加入体制」是正に向けた全国的な働きかけ。
②神奈川県教育委員会に対しての厳重注意。(できれば、「優良PTA」の表彰取り消しを行ってほしいくらいです!)
③優良PTAの選出基準に次年度以降は、「適切な入会方法を取っていること」の一文を入れる。
***

(初等中等教育局との連携は?)
初等中等教育局に話は入れてくれたようだが、単Pに対して具体的な指導が必要な場合は市教委がすることになる。また、全国の教委に対してPTA問題について通知を行うとしたら、やはり社会教育(生涯学習政策局社会教育課)がやるべきだろう、という話になったとのこと。
今のところ、文科省全体としてPTA問題に取り組むつもりは、残念ながらないようだ。


(神奈川県教委の「不良」PTA選出問題について)
「現状のままでいいとは思っていない。ブログの記事やご提言は、PTAの現状を把握する上での大切な資料にさせてもらう。」とは、今回もおっしゃってくださる。
しかしながら、
当方が求めた「神奈川県教育委員会に対しての厳重注意」であるが、していないし、するつもりもないようだ。
さらに、「優良PTAの選出基準に次年度以降は、『適切な入会方法を取っていること』の一文を入れる」件も、「簡単ではない。一係にできることではない。」とおっしゃる。

「現状でいいとは思っていない。係としては、何らかの検討をしていく必要はあると思っている。しかし、それには、審議会等で有識者の意見を集約するなどの手続きが必要だ。」
と前回と同様のご答弁。
要するに、ゼロ回答だ。

「審議会等でもんでもらうのはありがたいが、当方が問題にしているのは、『加入の任意性の確保』という、過去の審議会報告等でもすでにとりあげられている問題なのだから、審議会云々に逃げるのではなく、今すぐ事態の是正に取り組んでほしい。
新年度の新入生の保護者が自分の意志で入会・非入会を選択できるよう、文科省として今すぐにできることはあるはずだ。
全国のPTAに指導・助言を行うのは難しいというが、優良PTAの選出は文科省が主体として行っていることなのだから、基準の見直しはやる気になればすぐにできるのではないか?」

と申し上げた。

すると、
「選考基準は毎年見直しをしている。
しかし、入会が任意か否かは根本的なこと。
優良PTAの表彰基準の中で「任意性」を打ち出していくのは、非常に大きなこと。
問題の根本にかかわることだ。
だから、思うようには動けない。
一係として決定できることではない。
『任意加入の団体でないと表彰しない』と線引きをすると、その根拠は?と聞かれてしまう(そうなったら、文科省としては苦しい立場に立たされる)。」
とおっしゃるのだ(驚)。

「PTAの参加の任意性にはっきりと言及している過去の通知・通達(昭和23,29,42年)等を根拠に説明すればいいだけではないか。」
※まるお注:そもそも、昭和42年の社会教育審議会報告(「父母と先生の会のあり方について」)を、文科省がPTAにかかわる際の拠り所だとして持ち出してきたのは、PTA担当のS氏や係長のS氏なのだ!

すると、なんと次のように言うのだった。
「確かにそうだが、『答申は実施されることが望ましい』というものであり、法律的な決定事項ではない。」と。
※まるお注:やり取りの中でことばがすべっただけかもしれないが、これは「トンデモ発言」だ。
その問題性については、別記事で取り上げる予定。


「であるなら、憲法に定められている思想信条の自由や、最近では消費者契約法の中でうたわれている説明責任に言及すればいいだけだろう。国民の「自由権」を否定するつもりか?」

「・・・・・」

「上司の方とも相談し、個人や係としてではなく文科省として、国民が納得のいく説明をしてほしい。」
とお願いしておいた。

回答は一ヶ月を目途にいただけることになった。


(踏みつけにされる「自由」・教育公務員に浸みこむ「お上意識」)
しかし、なんでこんなことを大真面目に教育行政の総元締めの役所の官僚に語りかけなくてはならないのだろうか…。やはり、この国は、「法・人権の蔑ろにされる国」なのかもしれない。

ところで、「自由権」は「国家からの自由(対公権力性)」、「参政権」は「国家への自由」と言われるそうだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E7%94%B1%E6%A8%A9

PTAの問題は、公権力がやすやすと国民の自由領域を侵しているという問題性が認められるという意味で、岩竹美加子氏の問題意識(「国家の装置としてのPTA 」国立歴史民俗博物館研究報告・第132集(2006年3月)はやはり鋭いところをついているのかもしれないなと改めて思いました。http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2009/01/post_c488.html

文科省のPTA担当係長であるM氏にしろ、神奈川県教委のPTA担当であるY氏やK氏にしろ、横浜市教委のO氏にしろ、国分寺市教委のT係長にしろ、そして塩尻市立吉田小学校の校長先生にしたって、「自動加入」、つまり「保護者(=国民)に選択の余地を与えない」ということに対する「罪悪感」が、ほとんど感じられないのだ。
いったいあなたたちの「人権意識」は、どうなっているのですか!と問い詰めたくなる。
しかも、どの方もとても「いい方」(のよう)である。個人の資質の問題ではないと思われるのだ。


(神奈川県教委と文部科学省の言い分の食い違い)
神奈川県教委の担当者(K氏)から前日に聞いたことをぶつけてみた。

「『全員加入』を容認するなんてこれまで話し合ってきたことからしてもおかしくないですか?」
と問うた。
すると、係長氏は、

「容認はしていない。」

とはっきりと言うのだった。

「『加入率は問題にしている。しかし、入会のあり方が任意か否かは選出に当たっての判断基準にはしていません。』とは述べたが。」と。
確かに、調査票の記入欄には、加入率を問う項目はあるが、直接的に加入のあり方を問題にする質問項目はない。
係長氏は、自分はその点を指摘したまでだと言うのだ。

神奈川県の担当者が文科省から言われたという、「国の表彰要項には『自動加入』のPTAは推薦してはならないとはうたわれていません。」という発言について問うと、テープを取っていたわけではないので確言はできないがと述べつつ、「自分はそんなことは言っていませんよ(微笑)。」ともはっきりと言うのだ。

当方としては、神奈川県教委に対して厳重に注意してもらえない点は納得していないが、これまでの、そして今年度の調査項目に「加入のあり方を問う質問はない」という事実指摘をしただけだというなら、それは一応納得のできることだ。それは、事実を指摘したまでなのだから。

しかし、神奈川県教委は、「自動加入のPTAを優良PTAに選出しても問題はないと文部科学省に認めてもらった。」(要約)と主張しているわけである。
神奈川県教委がまったくの作り話をしているとも思われない…。

この点については、同日、神奈川県教委に連絡を入れ、直接の担当者であるY氏のお話を伺えたので、次回は、その点についてご報告したいと思う。


(新たな問い合わせ)
昨年度の文科大臣表彰「優良」PTAに塩尻市立吉田小学校がある。
ここも、加入と役職の強要を行っていることがその『PTAハンドブック』より明らかである。
『バンドブック』は選考の際に資料として提出されているのではないか?
と尋ねたところ、「資料は別室にあるので、次回までに調べておく。」と言っていただけた。

他に、『PTAハンドブック』の中で「全員加入」をうたっているのが京都市教委だ。
文科省のS氏が以前に「われわれも問題を認識し始めた。先日も、ご指摘の京都市教委の発行するハンドブックを取り寄せたところだ。」といった話をされていたので、ひょっとして何かアクションを起こしてくれているのではと期待して、「連絡はしたか?」と聞いたところ、「していない」とのことだった。