<172> #10

2011-02-20 18:25:21

今後、非任意加入を行っているPTAは「優良PTA」として表彰されるべきではない

テーマ:PTA
以前に問題にさせていただいた仙台市の小学校は、非任意加入を行っているにもかかわらず、優良PTAとして表彰されている(日本PTA全国協議会会長表彰)。
拙記事:<「Pちゃん」の学校が、日本PTA全国協議会会長表彰(驚)!>
(現在、ホームページにあった問題発言はなくなっている。本年度より任意加入に切り替わったのなら、関係者のご努力に敬意を表します。)

同じく当ブログでその非任意的加入体制を問題にさせていただいている塩尻市の小学校も優良PTAとして表彰されている(文部科学大臣表彰優良PTA)。
拙記事:<長野県塩尻市立吉田小学校への申し入れ(入会と役務の強要およびプライバシーの侵害の問題)>
こちらの学校は、残念ながら、いまだに『PTAハンドブック』中にある
**
吉田小学校に通う子どもの保護者と吉田小学校在籍の「学校職員」は、全員自動的に「PTA会員」になります。
**
との記述を改めていないようである。


ところで、先日、神奈川県の南足柄中学でも非任意加入が行われていることが判明した。
<平成22年度PTA会費の集金について うぇぶ 南中PTA!(β版)> 

PTA会長名で、
「本校のPTAは自動加入方式で、一世帯一会員となっております。」
とした上で、会費の支払いが求められている。
その案内には、「集金日前日に『集金袋』を学級担任からお渡しいたします。」とも書かれている。

本年度、この南足柄中学PTAが、優良PTAとして、「ダブル受賞」(11月22日に「神奈川県教育委員会優良PTA表彰」、11月26日に「日本PTA全国協議会会長表彰」を受賞)したそうだ。
<タウンニュース 「南足柄市 南中PTAがダブル受賞」>


拙ブログで何度か紹介しているように、本年度(4.26)、「優良PTA文部科学大臣表彰要項」の一部改正の趣旨をめぐって、文部科学省から「事務連絡」が各都道府県教委に発出されている。
冒頭部分を以下に引用しておく。

********
平成22年度優良PTA文部科学大臣表彰について

 優良PTA文部科学大臣表彰につきまして別添のとおりご連絡させていただきます。
 今年度は、優良PTA文部科学大臣表彰要項に基づき、各都道府県教育委員会から提出される調査表(別添1)の記載項目と記載例を一部変更しております。これは、PTAが任意加入の団体であることを前提に、できる限り多くの保護者と教師が主体的にPTA活動に参加できるよう組織運営や活動内容の工夫をしている団体を適切に評価できるようにするものです。優良PTAの推薦にあたっては、変更点をご確認いただくと同時に、以下の点に注意して審査、推薦いただけますようお願いいたします。
********
<優良PTA文部科学大臣表彰新基準の周知状況>より

この事務連絡では、「これは、PTAが任意加入の団体であることを前提に」とあるように、選考基準の一部改正の趣旨として、任意加入の団体であることが優良PTAの前提であると述べられているわけである。

神奈川県教委のPTA担当者が言うように、「事務連絡」が発出された時点においては選考手続きがほぼ終わっていた点を考慮すると、本年度の選考に、この「事務連絡」が生かされていないとしても仕方がないことなのかもしれない。(もちろん、要はやる気の問題だとも思うが。)
拙記事:<神奈川県教委による、文科省発「事務連絡」の処理>

しかし、次年度以降においては、適切な選考を行うための時間的な余裕は十二分にあるわけで、非任意的加入方式(自動加入・強制的加入)をとっているPTAが、優良PTAとして表彰されることは、あってはならないはずである。

そもそも、優良PTA表彰は、「PTAの健全な育成と発展に資することを目的として」(文部科学省)なされているものなのだから。
※とまてさんの「とまて日記」にこの表彰の目的・趣旨に注目してのエントリがある。
<"PTAの健全な育成と発展に資することを目的として">2009.6.28


<重要で、そして長~い(汗)追伸>
なお、この記事を書き終えた時点で、「PTAの健全な育成と発展に資することを目的として」という文言の出典を確認するために検索をかけたところ、横浜市の「PTA活動について」というページがヒットした。見ると、「平成23年度優良PTA表彰候補団体推薦にかかる資料・様式」のページがあった。

で、その中の「調査表」を見ると、昨年度まではあった入会方式が「任意」か「自動」かを問う項目がなくなっている。
<平成23年度優良PTA表彰候補団体推薦にかかる資料・様式>参照

これでは、あるPTAが優良PTA表彰の趣旨に相応しくない非任意的加入を行っていたとしてもチェックできなくなってしまうことになる。

非任意加入のPTAをチェックすることなく優良PTAとして表彰してしまうことは、「PTAの健全な育成と発展に資することを目的とする」優良PTA表彰の根幹にかかわることであるし、文科省により示された表彰基準一部改正の趣旨をめぐる「事務連絡」も全く無視するものである。

これでは、県から国にあげる段階の選出に際して「自動加入」のPTAは一応減点してきた昨年度までの選考よりも後退したことになるではないか。

そう言えば、先日(2/14)横浜市教委のPTA担当の係長であるM氏と話し合ったのだが、その時、M氏は「文科省発出の事務連絡は市には降りてきておらず、自分は見ていない。」とのことだった。また、優良PTAの選出に際して任意かどうかを問うべきだと当方が述べたところ、「県から聞かれる調査項目に従うまでで、県が任意かどうかを問わなければ、市でも問いません。今まで、ずっとそうやってきましたから。ええ。」とのことだった。

横浜市教委としては、「市P協と校長会において、PTAの加入が任意であることを確認はした。自分たちのやるべきことはやった」ということのようだ。
任意であることを確認した後のフォローをするつもりはまったくないようだった。
そして、どうやら、次年度以降も、強制的加入を行うPTAも優良PTAとして、県や国に推薦するつもりのようだ(嘆息)。

横浜市教委、および県下の各市教委に今回の文科省発出の「事務連絡」をいまだに伝達しようとしない神奈川県教委の見識を疑わざるを得ない。





1 ■敵は文科省にあり!
事務連絡とは
http://okwave.jp/qa/q4735564.html

通達、通知ならともかく、連絡ですので・・。
ちなみに、学童クラブの入会契約が消費者センターで問題になり、この報告結果と対応方法が各自治体に送付された時も「事務連絡」でした。

社会的大問題となったのに、このような対応をする行政は、一旦リセットする必要があるのかもしれません。

2 ■Re:「敵は文科省にあり!」?
>PTAのあり方とは・・さん
「事務連絡」は決して軽いものではないという見方もあるようです。
<事務連絡ってなんだろう?>
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090924

優良PTA表彰に関しては、文科省社会教育課はずいぶん頑張ってくれたのではないでしょうか。
惜しむらくは、事務連絡における任意性に関する叙述がより明白な形であったらな、とは思っています。(現状は、「埋め込まれている」と言うべきで、よく読まないと分からない。)

しかし、選考基準改正の趣旨説明として、任意加入であることが優良PTAとして表彰される大前提なのだとする(方向の)文言が入った意味は、小さくないと思っています。

今後は、非任意加入のPTAがもし表彰されたら、先日コメントをくださった「横浜市民」さんのように、「事務連絡」を根拠に正当な批判を行う市民が増えてくることが期待されます。

私は、敵は、むしろ「世間にあり」と思っています。
横浜市教委や神奈川県教委の頑なな態度の背後には、任意加入の方向に舵を切ることに対する「現場」(幹部教員・熱心な保護者役員(OB含む))の強烈な抵抗があるのではないかと。
そして、そのまた背景には、そのような動きを「肯定」する一般保護者の無意識を含む意識があるのではないか。
そう思っています。

しかし、インターエデュを見ても、2チャンネルを見ても、PTAブログランキングを見ても、流れは変わってきたように思います。
もうひと頑張りではないでしょうか。

3 ■Re:Re:「敵は文科省にあり!」?
>まるおさん
私も当該課のK氏M氏とも、出来る限りのことはやった、と理解しております。
彼らの権限で出来ること、それが「業務連絡」という形だったのだと思います。

私が敵視するのは”その上”の方々です。
何十年にもわたり自らが作り上げてきたシステムを壊すことになるので、その抵抗はすごいものだと考えます。

一般保護者の意思は”長いものには巻かれろ”ですので、攻め立てることは出来ません。

流れの変化は私もものすごく感じております。

横浜の事案は、校長会で確認されたことを否定するものとして、もはや教育行政の問題となっているものと考えます。
文科省の幹部は、この事実を知るべきだと思います。

4 ■Re:Re:Re:「敵は文科省にあり!」?
>PTAのあり方とは・・さん
**
横浜の事案は、校長会で確認されたことを否定するものとして、もはや教育行政の問題となっているものと考えます。
**
しかも、学校幹部・学校職員がその単位PTAの幹部でもあることを考えると、教育行政の責任は非常に重いですよね。

そういう意味で、文科省には、PTA問題を「生涯学習局」の問題としてだけではなく、「初等中等教育局」の問題としても取り上げてほしいです。

PTA問題における【学校の責任】は甚大であるのに、現状は、【そこ】を管轄するところが文科省内に「ない」という、恐ろしいことになっていると思います。
この「無責任の体系」については、真剣に反省してほしいと思っています。>文科省

5 ■横浜市入退会自由
横浜市のホームページに任意性が明記されていましたので、お知らせします。
http://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/22005170.html

既にご存知でいらしたら重複してしまい申し訳ありません。

6 ■Re:横浜市入退会自由
>はじめましてさん
超遅レス、失礼しました。

この件は知ってはおりますが、いっぽうで、教委が全員加入を前提にするかのような発言もしており、?状態です。
↓のエントリのコメント欄の後半参照。
http://ameblo.jp/maruo-jp/entry-10540002108.html

また、依然、給食費とPTA会費を抱き合わせ徴収している学校もありますね…。
「入退会自由」と矛盾すると思うのですがね。

近いうちに、横浜市に問いかけてみたいと思っています。

7 ■千葉で入会意志確認徹底しているPTA
>まるおさん

お世話になっております。
6年前から入会意志確認徹底しているPTAが千葉に存在すると下記より情報を得ました。

http://www.inter-edu.com/forum/read.php?1105,2040388,2040388

具体的地域など、もしご存知でいらしたら教えてください。よろしくお願いいたします。

8 ■Re:千葉で入会意志確認徹底しているPTA
>はじめましてさん

はじめまして!
残念ながら把握しておりません。
しかし、そのようなPTAがあること、とても心強いですね。
気にかけておきたいと思います。

インターエデュの興味深いトビの紹介、ありがとうございます。

9 ■Re:Re:千葉で入会意志確認徹底しているPTA
補足です。
ご存知かもしれませんが…

2ちゃんねるの「PTA違法スレ」で、本日次のような情報が紹介されています。

***
長岡第三中学校PTA規約

第2条 この会は長岡第三中学校に在籍する生徒の保護者と同校勤務の教職員を以って組織する。
ただし、会員の入・退会は本人の自由意志による。
***
http://www.edu.city.nagaokakyo.kyoto.jp/naga3-j/pta/PTA01.htm

京都府は、PTAハンドブックにおいて

「PTAへの加入は任意であることを保護者や教職員に周知した上で、PTA活動の趣旨を十分に伝え、保護者と教職員一人一人が主体的に参加できる組織運営や活動内容の工夫により、できる限り多くの保護者がPTA活動に参加できるような方向で運営されることが大切です。」
http://pta.my-sv.net/PTA_kiyaku/kiyaku_nice.html

と明記するなど、進んでいるようです。

10 ■ありがとうございます!
>まるおさん

ご親切にわかりやすい情報提供、ありがとうございます!

下記ホームページを活用させていただき、情報収集したいと思います。
http://pta.my-sv.net/