<186> #9

2011-08-15 22:30:34

横浜市教育委員会のPTA入会に関するスタンスへの疑問 (いじめを産み出す懸念)

テーマ:PTA
(珍しく連投です…。)
横浜市教委は、PTAへの入会に関して、横浜市の保護者・市民に対して次のように述べている。

*****
<回答>
(前略)
PTA費は学校運営の中で児童全体にかかる事柄に使われ、児童個別ごとに分けることが難しいものであり、原則PTAの加入は任意ではありますが、全員加入をお願いしているところです。
(後略)
<問い合わせ先>
教育委員会事務局北部学校教育事務所指導主事室
<公表日>
2011年4月4日

「横浜市『市民の声』の公表」より
http://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/23000503.html
(太字化、引用者。以下、同)
*****
注:なお、ここで「学校運営の中で児童全体にかかる事柄に使われ、児童個別ごとに分けることが難しい」とされる「PTA費」の具体的な使い道としては、「例えば、学校と地域が連携した活動を行う場合や運動会において全児童に配布する参加賞などで、一部PTA会費から負担されるものがあります。」と回答されている(5/6付回答)。
http://cgi.city.yokohama.jp/shimin/kouchou/search/data/23000503.html


この横浜市教委の発言にはいくつも疑問のところがある。
順に見ていきたい。

「PTA費は学校運営の中で児童全体にかかる事柄に使われ」の部分について

横浜市教委も100%同意してくれるものと思うが、PTAは教育委員会・学校とは独立した、社会教育にかかわる一「任意団体」である。このことを踏まえて言いたいが、PTAの会費の使い道を教委が【あらかじめ】限定してしまうことは、社会教育法第12条に触れないのだろうか。
※社会教育法第十二条  国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によつても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない。

会費の使い道は、単位PTAごとに、またその年度ごとに総会等において決められるべきものであって、教委があらかじめその使い道に言及することは同法12条に言う『行政による不当な干渉』に当たると思われる。


「児童全体にかかる事柄に使われ、児童個別ごとに分けることが難しいものであり」の部分について

その具体的な使い道についての言及を見てみると、「運動会等において配布する参加賞など」とされている。「運動会の参加賞」等が義務教育上どうしても必要だと教育当局として判断するなら公費で工面するのが筋であろうし、予算の問題があるなら参加賞を配布しないという選択肢だってじゅうぶんにありうる話だ。
また、ドリルやハーモニカの類と同様、各家庭に費用負担を求めるという選択肢だってある。
どう考えたって、「運動会等の記念品」等の存在が「PTA全員参加体制」を正当化するとは思われない。


「原則PTAの加入は任意ではありますが、全員加入をお願いしているところです」について

①と②の主張を踏まえての教委としての結論部分である。

横浜市教委のロジックとしては、

イ.PTA会費は学校運営上必要な経費として使われている。
ロ.よって、全員に入ってもらわないと困る。

ということのようだ。

イの部分についての主張が説得力に欠けることは先に述べたとおりだがそこは今は横に置き、ここではロの部分に焦点を当てその問題点に触れたい。

つまり、教委が保護者・市民に対して、「PTAに入ってもらわないと困る」と明確に意思表示をすることの問題についてである。

横浜市教委のロジックによれば、

「PTAに入らない自由はあるが、PTAに入らないような保護者は学校運営に対して非協力的な人間である」

ということにならないだろうか?
こうした「価値観」は、非会員の保護者やその子どもに対するいじめや「非国民」呼ばわりにつながりかねなく、非常に「危ない」価値観だと思う。


私はなにもいたずらに自由や権利を振り回しているつもりはない。
しかし、改めて申すまでもなく、「行政による国民・市民の自由に対する制限」は、法に基づいてなされなくてはならないはずだ。
その点で、PTAへの参加・会費の支払いは、法的な根拠に基づく「給食費の支払い」とは全く異なるものであることを、今さらながらではあるが、強調しておきたい。

法律に基づくことなしに行政が国民・市民の思想・信条・行動の自由を侵そうとすることは、憲法99条違反の疑いもあるのではないだろうか。
※日本国憲法第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


「全員加入をお願いしているところです」の部分について

教委が「全員に加入を要請」した場合、よく教委一般が持ち出す、「PTAと教委・学校は別団体だから、何か問題があったとしても内部で解決してください」といった言い分は通らなくなるだろう。
「入ってください。」とお願いしておいて、「何があろうと知りません」は通らないはずだ。
「お願い」には当然責任が伴うのである。

もしも、今後も、全員への加入要請をやめないと言うのなら、役職の強要等の人権侵害的な行為に対して、ぜひ責任ある対処を要請したい。


横浜市教委は、一昨年に開催された文科省後援のPTAシンポジウム(@横浜市)等を受けて、PTAへの加入が任意であることを市P連での集まりや校長会等において周知するなど、いっぽうで頭の下がる動きも見られるのだ。
※シンポの報告集は、こちら


しかし、↓に見られるような、「タテマエは任意だけれど、実質的には全員参加なのでよろしく」といった教委事務局員の言動も認められ、看過できない。

**
任意加入であるということは、正しいひとつの情報として伝えることは大切。誤解をしないでいただきたいのは、任意加入であっても全員で活動するとても重要な団体であるということには変わりない。
(発言者:横浜市教委生涯学習文化財課鈴木氏)
「横浜市PTA連絡協議会理事会報告(H22第2回)」より
http://www.pta-yokohama.gr.jp/kaigi/riji/rj2202.pdf
**


<終わりに>
今回とりあげた問題は、「市民の声」等の先進的な公聴システムの存在と横浜市民の市民意識の高さの結果として「単に横浜において表に出ているだけ」のものとも言え、実は、全国的に程度の大小はあれ存在している問題だと思われる。
全国的な問題として、文科省の担当部局もぜひ真剣に検討いただきたいと思う。





1 ■猫紫紺
わたしも教委の二枚舌に遭いまして、辟易しました。
ハンドブックを、区P連と連名で出しておきながら、問い合わせには、当番校の担当保護者に聞いてくれ、と社会教育法第十二条を盾にするのです。矛盾してますよね!?

それと、知り合いの、入会届を整備したPTAの話です。その学校の会員から、運動会の景品はない話を直接伺いました。情報です。


2 ■すみません
連投申し訳ありません。
↑、コメントタイトルをうっかり入力し忘れたら、とっても恥ずかしいことに…。
どうぞ笑ってください(・_・;)

3 ■Re:猫紫紺
>猫紫紺さん
「教委の二枚舌」、そうですよね。

「裏で糸は引きます。でも、矢面に立つつもりはありません」

ということだと思うのですよね。
アンフェアですね。


情報、ありがとうございます。

コメントタイトル、何にもお気になさらずに!

4 ■Re:すみません
>猫紫紺さん
すみません(汗)

コメントタイトル、述べさせていただいたように、私は何にも問題ないと思うのですが、お気にされていたものをそのままレスしてしまいました<(_ _)>。


なにはともあれ、お子様ともども、よき夏を。

5 ■ありがとうございます。
まるおさん

ありがとうございます。
加筆の件とエデューの書き込みの件
お礼を申し上げます。(ナイショですが、実はエデューアレルギーでして、書き込みが偏って見えてしまうのです)

横浜は、昔から(独立独歩)の精神が
ある地域だと思います。

私の知る(横浜人)は粋な方が多いですよ。

お住まいされている地域は、慶応の藤沢校に
代表されるようにITを上手に駆使されて
行政の一助とされる
先進的な地域だと思います。

ハコモノに関しても、一味もふた味も違った
ポリシーを感じますから。中身もそこに伴えば
それこそ住民の誉だと思いますが。

ここで、論じられた(日本文化)と(世間)そして(行政)は、この数年間、親として様々な課題を与えて頂けたので感謝しています。

願わくば、(弱者を排除する社会)にだけは
進んで欲しくない。(のですが)プライドのかけ違いだけは慎重に進んで欲しいです。

お金の問題では無いですよね。
震災の復興時に、PTA中核派が
急に(子供の教育の為に!!)と偽って
学校を使って募金を募りました。

そんな事しなくても、募金すれば良いのに
ミエミエです。世間なんてそんなものです。

家の事は、私が取った責任です。
それは、私自身が背負うべき
(責任)だと思います。

できる限りの事を子供に捧げたいと思います。

同時に、弱者を追いつめてはいけない事を
私自身が(責任)を持って学校側と話します。

学校側は、私の事を(青臭い親だ)と感じている様子ですが、本当にそうなのか、問いたい所です。正直・げんなりしている自分がいます。

里山さんにも宜しくお伝えください。

6 ■Re:ありがとうございます。
>OTさん
(金・土と、実家の三重に帰っておりました。)

おほめの言葉、ありがとうございます。

PTAが募金等の活動をすること自体は、結構なことですし、どうぞご自由になのですが、【PTAにすべての保護者を巻き込もうとする「全体主義的体質」】が問題だと思っています。

***
同時に、弱者を追いつめてはいけない事を
私自身が(責任)を持って学校側と話します。
***
本当に頭の下がることではありますが、決してご無理なきよう。

7 ■横浜市のようにネットで公開して欲しいです
まるおさま

こんにちは。
横浜市の回答に疑問はありますが、ネットで市民の声に回答しているところは素晴らしいと思います。以前私の住む自治体も首長へのメールや手紙の内容を広報紙に載せていたのですが、なぜか最近載せていません。どんな質問にどんな回答をしているのか知りたいのですが。意見を公開して欲しいという意見も出していますが、なぜか公開してくれていません。
 会の中のことでも、何か一人の人が意見した場合、【他の人も同じような事を考えている可能性がある】と私なら考えるのですが、旧役員のある人にはそう思えないようで、私の意見に対して「そんな事を言うのはあなただけよ、親としてあなた変よ」などと言われています。困った問題です。まず、【変な親が言っているのだから『PTAの自由な入退会なんてありえない』】という発想なのです。会の中には確実に私以外でも数人同じ意見の人が存在しているのですが。
 しかしながら、やはり任意団体に入会するのに本人の意思確認もせずに会員扱いにすることは、人数に関係なく、おかしいことですよね。

8 ■Re:横浜市のようにネットで公開して欲しいです
>柳下玲優さん
お疲れ様です。

横浜市、確かに「市民の声」を公開しているのは素晴らしいですが、回答内容に対して疑問を投げかけると、その疑問、つまり反論は公開されなかったりするのですよね(怒)。

いずれにしても、じっくり、しぶとくやっていくしかないなと思っております。

9 ■横浜市の、とある教職員に質問しました
PTA費で賄われている支出に、学校経費か、負担するべき学年で集金して賄うべきと思うものがある。どうしてか?と質問しました。

答えは、「先生たちの負担を減らしたい」でした。

私はきっと、
予算的に学校経費に充てるのが嫌で、PTA費で払えそうなものはPTA費で賄いたいという理由もあると思います。
(その質問をしたときこの部分を追及しなかったのが悔やまれる)

だから、PTAは会費制じゃないと、学校も困るし、上納金が必要なP連も困るということかと思います。

だから、

>PTA費は学校運営の中で児童全体にかかる事柄に使われ

それを理由に「PTAに全員入ってね」は、いけません。