<219> #67

2012-07-01 23:27:32

和歌山のPTA会費流用問題をめぐり朝日新聞にコメント

テーマ:PTA問題の実際的解決をめざして
6月28日の朝日新聞和歌山版で、PTA会費(県立高校)の流用問題が取り上げられました。
近く和歌山県教委から「公費と私費の負担区分に関する統一的基準」が示されるとのことです。
そのことを踏まえて、「学校はなぜ、PTA会費をあてにしてきたのか。流用のどこが問題なのか。新たなルール作りを前に学校現場を訪れ、関係者に聞いた。」という記事です。
私のコメントも掲載されました。

PTA会費の不適切支出は、今年に入り、沖縄などでも明るみに出ており、全国的な広がりを見せています。

朝日新聞和歌山版(2012年06月28日)
「PTA会費 公費負担基準」



なお、PTA会費の不適切支出に関しては、読売新聞も精力的に取り上げており、この1日にも「PTA会費 広がる不適切支出 読売新聞調査」という記事が出ました。



(備考)
朝日新聞和歌山総局のツイッターから
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朝日新聞和歌山総局 ‏@asahi_wakayama 6月29日
今年3月、県立高校で本来公費負担すべき非常勤職員の賃金を、PTA会費から支払っていたことが明らかになりました。学校はなぜPTA会費をあてにしてきたのでしょうか。現場や専門家の意見を聞きました。
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産経新聞の記事2012.3.23
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「和歌山県教委に調査要請 PTA会費補填問題で平野文科相」

平野博文文部科学相は23日の記者会見で、和歌山県立高校の一部が校舎の修繕費や教職員の出張費などをPTA会費から補填していたことについて、県教育委員会に実態を調査するよう要請したことを明らかにした。

 平野文科相は「法律上の問題があれば改善や処分を求める。まずは調査しなければならない」と述べた。

 県監査委員事務局によると、非常勤職員への手当や、寄宿舎の排水管の修繕費などをPTA会費などから補填しているケースがあった。
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http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120323/crm12032311240008-n1.htm


紀伊民報の記事(2012.4.3)
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「PTA会費の流用 実態解明し悪弊打ち破れ」

(前略)
県教委によると、PTA会費など徴収金の取り扱いについては、以前から監査委員に指摘されていた。いずれも口頭だったが、一部の学校がPTA会費で購入した備品について「寄付か無償貸与の手続きをするように」(09年)、徴収金については「統一基準の検討を始めるように」(10年)と求める内容だったという。

 これを受けて県教委は、県立学校の事務長が参加する会合の議題にこの問題を取り上げてきたという。だが、文書で指摘を受けた昨年9月以降になっても、具体的な対応策は決めていなかった。怠慢といわれても仕方がないだろう。

県教委総務課は「学校の判断が基本という前提で検討していた。学校によって事情が異なることもあり、慎重に検討する必要があった」と説明。PTAが法律上、任意の社会教育関係団体と位置付けられており、地方自治体が不当に干渉しないよう定められていることも、対策にまで踏み込めずにいた背景にあると弁明している。

 しかし、施設の修繕費や人件費は本来、県費で支払うべき支出である。その原則から見れば、保護者からの徴収金を充てることは到底許されない。施設の修繕や人件費の補助を保護者に求めなければ教育環境が維持できないというのなら、そういう制度の設計自体が間違っているのだ。
(後略)
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http://www.agara.co.jp/modules/colum/article.php?storyid=229222





1 ■PTA会費と学校の費用
まるおさん、こんにちは。
こちらの小学校は「PTA」と「保護者会」がほぼ同じ意味合いで使われておりまして、PTA会費と学校の費用も一緒に自動引き落としです。今のところはPTA活動にも不満は無いのですが(まだよそ者気分なので)、不正とまではいかなくても疑問に感じることはあります。

例えば「地域振興会費」というものが学校で集められます。この組織が謎でして、青少年育成のための組織らしく、どこの学校にもあるようですが、「公」の組織なのか「私」なのかが、イマイチはっきりしません。

ある保護者が、
「地域行事の費用を、どうして保護者が支払わなければならないのか?」
と怒り半分で質問したこともあったので、若い親にとっては、金銭的にも時間的にも負担になっていることは確かだと思います。(ちなみに、振興会長の回答は、「地域行事は主に地元の寄付金で賄われている。子ども向けの行事が多いので、保護者の方にもご協力願いたい」でした)


ただ、こちらでは「地域」と「学校」はかなりの部分(私には「そっくりそのまま」に見えます)が重なっていまして、「保護者=PTA」はそのまま「地域の住民」です。地域社会の構造ががっちりと堅牢なので、「PTAは任意です」というのは、「この地域に住み続けるのは任意です」と同じ意味合いかもしれません。
(PTAを疑問に思う=地域社会を疑問に思う=都会に出ていく・・・みたいになるのかな?)


2 ■Re:PTA会費と学校の費用
続き

というわけで、「本来公費すべき費用」をPTA会費から支払っていたとしても、地方の感覚だと
「ああ、ありそうだなぁ」
です。公費を私費に流用するのは、確かに問題でしょうが、私費(?)を公費に流用するのは、よくあることのように思えてなりません。

まるおさんの「親心に依存」というのは、まさにその通りだと思います。親は「地元」の予算に限界があることは十分に承知していますし、どっちにしろ「公費」も「自分たちの負担(税金)」なものですから、だったら「直接払う」ほうを選ぶ・・・という親心もあるかもしれません。


3 ■灰とダイヤ
朝日新聞、読みました。
教授お二人のコメントを対比し、面白く読みました。
史的経緯と現状に鑑み、両コメントを、
『記事に登場する順に灰とダイヤモンドだなぁ』
と思いました。
・・・蛇足ですが、まるおさんダイヤ!です、まるおさんがイヤ!ではありません。


4 ■Re:灰とダイヤ
>姫路さん

>例えば、学校の部活動費を上げるべきだと判断したら実情を説明した上で、県教委と掛け合ったり、保護者に呼びかけて寄付金を募ったりしてもいい。

残念ながらこのコメントはダイヤじゃないし、誤解を招きかねない。
いまどき、義務教育の公立学校で保護者に寄付を求めるなんて許されないことです。そんなこと認めてる自治体なんてどこにあるのですか?少なくとも私の住んでる政令市では、公立学校が保護者に寄付を求めることは、いかなる場合も認められていません。
こんな初歩的なチェックもできないで、新聞に載せる朝日も勉強足りないなー。


5 ■Re:Re:灰とダイヤ
>経験者さん
>いまどき、義務教育の公立学校で保護者に寄付を求めるなんて許されないことです。そんなこと認めてる自治体なんてどこにあるのですか?

きっぱりした政令市にお住いのようで、うらやましい限りです。お言葉ですが、あるのですよ。」
自校は、「義務教育における私費負担の解消について」を制定している都内に位置します。けれども、PTAという団体を通して、また周年行事実行委員会という団体を通して、学校管理職から物品寄贈のリクエストがきたりするんです。
これ、形を変えた寄付にあたると思えませんか?

また、PTAの「寄付上乗せ金」というものが存在します。
http://todoct.blog85.fc2.com/?m&no=2601
こちらのご見解をお伺いしたいです。


6 ■補足
>経験者さん
>残念ながらこのコメントはダイヤじゃないし、誤解を招きかねない。

そうですね。「このコメントはダイヤじゃないし、」の部分を除いて、ご意見はもっともだと思います。
なぜなら、、学校の部活動費を上げるべきだと判断》する、《主体》がはっきりしないからです。
《主体》が、「学校」なのか、「PTA」なのか。
この解釈によって、文脈が大幅に異なってきます。

わたしは、まるおさんのことですから、主体が《PTA》だと受け取って、さらっと流してしまいました。義務教育はすべて公金の理想、でも現実にはお金が足りなくて私費に頼る自治体も現実あります。例が、部費ならなおさらです。徐々に解決すべき問題だと、わたしは考えます。

一方、経験者さんは、主体が《学校》と受け取られたのですね。
もしもそうなら、大問題です。

ですが、まるおさんの元の意図は違うはず。まるおさ、いかがでしょうか?

7 ■コメント、ありがとうございます。
みなさま
コメント、ありがとうございます。
ちょっとバタバタしておりまして、
明日にでもお返事させていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

8 ■Re:補足
うーん、確かに寄付と表現すると「えっ学校が寄付を募っちゃだめじゃないの?」となりますよね。
私は寄付=部費という意味に受け取りましたが…
部活動は義務教育の範囲外だ(と私は思っている)から、ある程度の受益者=保護者負担は当然と思います。部活動をする生徒の親という意味です。
どこまで公費負担すべきかという話はこの際おいといて…

でも部活動の主体である学校がいちいち部費集めに苦労するのが大変だから安易にPTAからもらってる、そこがおかしいしそれがあるからPTAに加入しない保護者が非難されるのはねじれてるって話ではないのでしょうか。
そこは学校が部費を払ってくださいと保護者に理解を求めて集金するなり、国や自治体から予算とるなり、なすべき苦労を正面からするのが筋じゃないかという話にとらえました。

朝日新聞の記事本文からはややズレるのかもしれません。上記はあくまで部活動についての話です。
しかし新聞記事にせよ、話のポイントはここ(=PTA会費に乗っかるのは筋違いだし弊害を生む)であり、「学校がお金払えって要求するの?それ大丈夫?」という議論にズレていってしまうのはどうかなと思います。どちらにせよ「だからPTA会費から使うのが応分だよね」という結論にはなりっこないのですから。

いわば「直接保護者に負担を求めれば非難ごうごうになる(少なくとも議論の対象になる)ものを、黙ってPTA会費から流してるから文句も出ずスムーズに流用できている」というシステムの不正さを指摘することが目的の記事だと受け止めました。


9 ■部費についての考察
>ぶきゃこさん
ナイスフォロー、ありがとうございます!

部費については、私自身、我が子がまだ小学生なので、生の形で問題にぶち当たっておりません。
でも、

『子どもの貧困白書』子どもの貧困白書編集委員会編、明石書店、2009年に、

この問題が取り上げられていると記憶しております。
スレとややずれますが、この本を読むと、高校教育費無償化や、子ども手当をなぜ民主党が行ったか、が見えてくると思います。

10 ■今後の予定(まるおより)
いただいたコメントへのレスが遅れ失礼いたしております。

今後のエントリの予定を備忘も兼ねてまとめました。

①朝日新聞の記事に載った以外の拙コメントついて(「PTA会費の学校運営費への流用は『非会員ただ乗り論』にもつながる」等)

②横浜市教委学事支援課担当者氏にPTA会費の徴収方法の変更につき直に聞いてきた

③拙コメント中の「学校が寄付を募ることもあっていい」との言及について(文科省担当部局にも確認してみましたが、学校が寄付を募ること自体に違法性はやはりないようです。)

11 ■Re:Re:補足
>ぶきゃこさん

部活動の顧問の先生はボランティアです。
PTAの支援、協力があるからこそ先生方も部活動を見て下さっている面があるのではないでしょうか。


12 ■Re:Re:Re:補足
>通行人さん

申し訳ないのですが、ちょっとのみこめなかったので教えていただけますか?
今は「学校主導でおこなう活動の費用をPTA会費から流用することについて」が議論の対象になっていると認識しております。
先生がボランティアで、PTAの支援、協力があるからこそ先生方も部活動を見て下さっている面がある、だから?
だからPTA会費の流用は正当である、というご主張でしょうか?
私を名指しされていますが、私の投稿とのつながりがよく分からなかったので。


13 ■Re:Re:灰とダイヤ
>経験者さん

ご指名のレスに気付きました。
お名前のとおり(PTAについて何事かを)経験していらっしゃるのなら、どうか、その先の経験も重ねていただければ善いと思います、ご無理なき重ね方で。

14 ■紀伊民報の記事を「備考」欄に追記
紀伊民報の04.03の記事「PTA会費の流用 実態解明し悪弊打ち破れ」を追記しました。

監査委員からの指摘が09年から複数回なされていたこと、にもかかわらず、「学校の判断が基本」とか「PTAに地方自治体は不当に干渉できない」とか言いつつ、県教委が動いてこなかったことが厳しく批判されています。

15 ■Re:Re:Re:Re:補足
>ぶきゃこさん

ここに来られてる皆さんはPTAは任意団体であると認識されている方たちですよね。

任意団体ですので会費の使途は自分たちで決める事が出来るのは当たり前じゃないですか?

PTAとして、その学校の児童・生徒のために会費を使うのは全然問題ないでしょう。
ですので部活動援助費としてPTA会費を使うことはまったく問題なしと考えます。

会費支出の決め方の問題と部活動補助の為に支出する事とは問題が別次元です。


16 ■行政主導の問題
本部(=学校)の鼻つまみになってる「ある保護者」です。

http://ameblo.jp/maruo-jp/entry-11171677389.html#cbox

こちらに取りあげて頂きましたが、寄付に関するグレーゾーンなら自PTAにも多々ありますね。
保護者ネームプレート、メール連絡網配信、教師への慶弔費、周年行事等ですが、いくら突っ込んだところで、「PTA側から厚意で言って来られただけで、学校側からは要求してない」と言うわけです。
社会教育法に置いて、グレーゾーンを掻い潜ってる組織がPTAなんじゃないでしょうかね。

横ですが、
私が役員を務める社会教育関係任意団体の小学生向けサークルが監査の追及受け、助成金の減額が決まりました。
勧誘してますが、会員も増えないので、いよいよ、経費見直しのメスを入れます。
先生のポケットマネーから材料費だしたり、楽ではない運営ですのに、こういう、細々「個人」で運営する「社会教育関係団体」には監査入れ、追及し、どうして、こうもPTAには甘いんでしょうね。
思わず、生涯学習課に抗議したんですが、お得意のスルーでした。
まぁ、要は行政主導で進めるには不可欠な組織がPTAだから監査要求も右から左なんでしょうかね。
おかげで、経費から来る保護者イジメ(ただ乗り許すまじ)も巻き起こるわけなんですけども。

イジメと言えば、中2の男子生徒が自殺と言う痛ましい事件もありました。
もちろん、伏魔殿の教委は「自殺とイジメは関連がない」と、知らぬ存ぜぬで、私はやるせない思いでいっぱいです。
悲し過ぎますね。

運営に関して言えば、地方に行くほど「ボランティアサークル」の認識は皆無になるんじゃないでしょうか。
TRKさんと、私の地域も似たようなものです。
田舎特有と言いますか、学校行事と地域組織をごった煮にして、「伝統」から自立をさせないんです。
自治会、青少対が学校行事とまぜこぜで表記され、予定表も自PTAでは、配られたりしてますが、これが諸悪の根源だと思ったりもします。


17 ■Re:Re:Re:Re:Re:補足
>通行人さん

任意団体ですのに、退会の自由が実際問題としてありませんのはご存知ですか。
規約に退会規定を載せてるPTAって、いかほどなんでしょうかね。

http://ameblo.jp/maruo-jp/entry-11235198673.html#cbox

こちらの長いコメントを読んでも気づかないですか。
ただ乗り論で保護者はガンジガラメですよ。

サラっと任意と入学時に説明したとして
「任意団体ですが、全員参加をお願いしています」
と言う説明に違和感はないですか。
ちなみに、自PTAでは、説明に任意がなく、会長の説明では「学校のサポートして頂き、基本的には、皆さまにご参加頂くことが前提でおつきあい(PTA前提じゃないと保護者と付き合わない?)させて頂きたいと考えております。」
と言う、お決まりの全員参加型説明でした。
地方財政法では、全員参加要求した上での組織を介しての要求は違法の部類になるんじゃないでしょうかね。
まぁ、これもグレーゾーンで逃げるのが関の山ですけど。