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2009-07-25 17:11:29

PTA問題解決へ向けた「土壌」改良を!

テーマ:PTA

「PTAの問題について取り組んでいます。」と言うと、「でも、子どもを学校に任せっぱなしにするのはどうなのでしょうかね?」という反応が返ってくることがある。
ひとりの保護者として学校と連携し、学校に協力することと、一任意団体のメンバーとして学校と関わることとの区別がなされていないのだ。
そう言えば、杉並区の和田中学の元校長で、現在は大阪府の特別顧問をされている藤原和博氏のようなプロ中のプロのような人でも、「PTA」を完全に「保護者」の意味で使っていた。

PTA=保護者
保護者=PTA

という意識は非常に根深いものと言えそうだ。

私はPTA批判派の急先鋒の一人だと自負(?)しているが、ひとりの保護者として学校と連携し、時に学校に協力することは大いに必要なことだと思っているし、実践もしてきたつもりである。
学校との連携・協力を具体的に言えば、一つは、学校主催の(学級・学年・学校全体の各単位の)保護者会に出席し、学校側の考えをよく聞き、必要に応じこちらからの要望や言い分もしっかりと伝えること。そして、もう一つは、学校側から協力の要請があったら、それに応えられるようなら応えること。
保護者の「務め」としては、この二点に尽きる(=ミニマム)と思うのだ。
このミニマムを遂行するに当たって、PTAの「出る幕」は、本来ない。

「保護者会」は学校行事として学校主催で行うべきものだし、「お手伝いの要請」も 【学校が】 一人ひとりの保護者に対してなすべきものである(なぜならば、学校の運営責任は一義的に学校にあるのだから)。そこに必要なのは、学校と「一人ひとりの保護者」である。「ひとからげにされた保護者」などでは断じてないはずだ。

ところが、残念ながら多くの学校の現状がそうなっていないことは皆さんご存知の通りであるし、文科省の方針が、上に述べたことと大きく食い違っていることは、「PTA問題の源」で紹介した中央教育審議会の文書の赤字の部分を見れば分かるとおりである。
再度引用しておく。

*****
 学校は,PTAを通じ,保護者に対して学校の教育方針や教育活動の実施状況,学校評価結果を説明し,保護者の十分な理解を得るようにし,一方,PTAは,保護者全体の意見を踏まえながら学校に協力していくことや,子どもの教育の当事者として各家庭における教育の充実に取り組むことが望まれる。また,学校はPTAに対し学校評価への協力や参画を促すことも重要である。
*****
どうも、文科省や学校当局は、保護者を「ひとからげ」にしたくて仕方がないらしい。

学校と保護者の連携になぜPTAが介入する必要があるのか?
【学校行事としての】保護者会をきちんと機能させれば連携は十分に可能なはずだ。それで、なにが不足だと言うのだろう?


学校には、「学校教育」という仕事をきちんと果たしてほしいと言いたい。
それがあなた方のお仕事なのだから。

学校教育の主催者は学校であり、家庭教育の主催者は保護者である。
そのけじめをしっかりとつけようではありませんか。
しっかりとけじめをつけたうえで連携・協力しましょうよ!


現状はおかしなことに、多くの学校で保護者との連携が、「まとめ」の文書が指し示すとおり、「PTAを通して」なされているので、学校と連携したいと願う保護者(これはすべての親の願いと言っていい!)は、PTAに入らざるをえなくなるという構造になっている。
これでは、「学校とは別組織の一社会教育団体」という看板に偽りありと言わざるを得ないのである。
PTAで追い詰められた保護者は、退会しようにも、そうしてしまうと安んじて子どもを学校に通わせがたくなるから苦悩するのである。
いったい、どこが学校とは別組織というのだろう?
これを、ダブルスタンダード、二重基準と言わないで、なにをそう呼べばいいのだろう。

学校と保護者の連携・協力は「保護者会」を通して行い、「それでは足りない!」と思う保護者や教員は、PTA活動に励めばいいと思うのである。
どう考えたって、これが法令とも整合する本来的なあり方だと思うのだが、どうだろう?

このような本来のあり方になれば、必要とされる学校と保護者との連携・協力はきちんと確保されつつ、不要な保護者同士の軋轢は解消されるはずである。
いいこと尽くめではないだろうか?

PTAの現体制に肯定的な方、反論があればぜひ。
また、PTA批判派の方からの補足、疑問、反論もあれば、ぜひぜひ。




1 ■まさしく”仰る通り”です!
まるお様
御意でございます。

最近、家庭教育と学校教育がごちゃ混ぜになっているような気がします。
「躾」や「学習」に関しても、学校で行うものと家庭で行うもの、その場面場面で当事者による”導き”が必要な場合があるのだと思いますが、どうも家庭の役割を勝手に決め付けているような、そんな気がします。
夏休みのプール解放も(当地ではありませんが)、学習として必要であれば、もう少し良いやり方があるものと考えます。
なにか、お互いの領域を侵犯しているような、お節介民族の国民性といいましょうか・・。
とにかく、「義務教育」というものをもう一度根底から考える必要があるように思います。

2 ■Re:まさしく”仰る通り”です!
>PTAのあり方とは・・さん
コメント、ありがとうございます。
私のほうこそ、「仰る通り」と言いたいです。

>なにか、お互いの領域を侵犯しているような、お節介民族の国民性といいましょうか・・。

森有正の言う「二項結合方式」(癒着的な人間関係)ですね。
氏は、日本には「二人称(「汝」と「汝の汝」)」がいるだけで、一人称と三人称が存在していないと言っていますが、PTAを見ていると、氏の言っていることが極論でも何でもない気がしてくるのですよね。

スミマセン。お話に刺激され、生煮えの話をしてしまいました・・・。