<226> #2

2012-08-09 23:19:28

文科省「PTA会費に関する通知」を読む 資料編1(通知内容)

テーマ:PTA問題の実際的解決をめざして
文科省初等中等教育局よりPTA会費の扱いをめぐって出された、次の通知について考察してみたい。

「学校関係団体が実施する事業に係る兼職兼業等の取扱い及び学校における会計処理の適正化についての留意事項について(通知)」(平成24年5月9日)
発信者:文科省初等中等教育局長
宛先:都道府県教委教育長及び各指定都市教委教育長



この通知については、前々エントリ<「附属学校の運営に要する経費等の取扱いについて」 ― “会費からなされる寄付は受けてはいけない”>の末尾でとりあげ、「残念なことに、保護者一人ひとりの任意性を担保しようとする姿勢は認められない」と当方の結論だけを述べた。
以下では、その説明を試みたい。

まず今回のエントリでは、文科省からの通知内容をご紹介したい。
次回のエントリでは、通知において参照されている地方財政法の、「逐条解説」に述べられていることを紹介する。
そして、さらにその次の回のエントリでは、「逐条解説」に述べられていることを踏まえつつ、文科省の通知のどこがどのように問題なのかを述べてみたい。


では、当該通知を以下、紹介します。
まず、前書きは以下のようである。

++(引用)++
 このたび、一部の教育委員会において、高等学校の生徒に対する補習等の活動について、教員が教育委員会の許可なくPTA等の学校関係団体から報酬を受けていた事実や、学校関係団体からなされた寄附等に係る支出の項目が学校教育法第5条や地方財政法の関係規定に照らして疑義を生じさせる事案等が国会において指摘されたところです。
 ついては、下記の事項に留意して適切に対応するとともに、域内の関係市町村に対しても、この通知を周知するようにお願いします。
 また、各都道府県教育委員会及び各指定都市教育委員会におかれては、別添の点検・調査事項について、自らが管理する高等学校及び中等教育学校(後期課程)における状況等を点検・調査して、平成24年6月6日(水)までに、その時点での点検・調査結果を報告していただきますようお願いします。
++++++++

それに続く本文は、以下のようである。
(前半の「兼業兼職」に関する部分は省略)。

++(引用)++
2.学校における会計処理の適正化に係る留意事項
①学校の管理運営に係る経費については、当該学校の設置者である地方公共団体が負担すべきものであり、地方財政法等の関係法令に則して会計処理の適正化を図ること。
 その際、同法第27条の3及び第27条の4は、学校の経費について住民に負担転嫁してはならない経費を規定しており、その趣旨の徹底を図るとともに、それらの経費以外のものについても、住民の税外負担の解消の観点から安易に保護者等に負担転嫁することは適当でないこと。
 また、学校教育活動として公務のために旅行命令に基づき支給される旅費(他団体主催業務等に依頼されて出張する場合に、当該団体が負担するものを除く。)や事務補助員等の地方公共団体の職員の給与について保護者等に負担転嫁してはならないこと。

②学校関係団体から学校に対して行われる寄附について、地方公共団体が住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収することは、地方財政法第4条の5の規定により禁止されていること。
 一方、学校関係団体から学校に対して自発的な寄附(金銭・物件)を行うことは禁止されておらず、この場合には、その受納に当たって、当該学校の設置者である地方公共団体が定める関係諸規程等に従い、会計処理上の適正な手続きを経ること。

③学校における会計について、学校関係団体の会計と明確に区分して処理するとともに、保護者等に対して学校配当予算の執行・決算等の内容をホームページや「学校便り」等を通じて、できるだけ情報公開するよう努めること。
+++++++


私は、②にある、「一方、学校関係団体から学校に対して自発的な寄附(金銭・物件)を行うことは禁止されておらず、」のところに、大きな問題を感じている。
(つづく)





1 ■おねがい
まるおさん

このエントリから一連のエントリを爽快な気分で読み始めました。
貴重な内容です。
読みながら、懐柔や迎合は、改革とは別なものかもしれないといったテーマを思い付き、あたためはじめました。

一つ、おねがいがあります。
和暦の22年が24年ならばご訂正ください。
一連のエントリをDLして資料としたいのです。

2 ■Re:おねがい
>姫路さん
ご指摘、お言葉、痛み入ります。
訂正させていただきました。

ありがとうございます。