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2010-03-08 22:51:53

留学生に聞く「PTA」④(韓国)

テーマ:留学生に聞く「PTA」
韓国出身のHさんが修士論文(健康心理学)を書き終え口頭試問も終わったということで挨拶に来てくれた。
ひとくさり学部時代の思い出話や卒業生の近況などを話し、楽しいひと時を過ごした。
で、話はいつの間にかPTAの話に^^;。
考えてみれば、Hさんは修論で「日本で働く韓国人のストレス」を取り上げており、PTAの話は彼女の専門とも無関係ではない。

韓国でも日本のようなPTAがあるかと聞くと、「全然ありません。」と。
彼女は韓国語の講師の仕事もしており、日本人の母親からPTAの苦労話を聞き、不思議に思っていたというのだ。
彼女によれば、韓国で保護者が学校のために何かをさせられることは皆無に近いとのこと。

クラス代表と副代表、それから学校全体の代表はいるけれども、それ以外の役職はないと思う、と。
で、それらの役職者も日本のクラス委員や会長に比べるとほとんど仕事がないも同然で、子どもたちにノートを配ったり、サッカーボウルを寄付するくらいしか仕事はないというのだ。
保護者全体からそのお金は集めるのかと聞くと、彼女の知っている範囲では、役職者のポケットマネーでは?とのこと。

日本にはない面白い仕事が一つあった。
それは遠足の時の先生のお弁当をクラス委員が用意するというものだ。
委員長はお弁当本体(?)、副委員長は果物等のデザートを用意することが多いと。
作ったものは、子どもに持たせるだけで親が学校に持って行くわけではないそうだ。

仕事と言えばせいぜいその程度で、彼女の話によると、日本の保護者が背負い込まされる諸々の負担は韓国では全くないということなのだ!


韓国は、言語的に日本と非常に近い国だし、集団主義的な傾向を指摘されることも多い(学園祭で韓国料理の模擬店を出すときの韓国学生の団結ぶりはとても印象的)。日本に特有とされる「甘え」の心理も同様にあるという説もある。また、韓国は日本と同じく『教育熱』の非常に高い国(受験競争と塾の存在等)でもある。
そのような点から、まったく同じではないものの、かなり近いものがあるかもしれないと思っていたので、このHさんからの情報は驚きであった。

保護者が学校の「嫁」のように使われること。
特に本部役員になった場合の負担の重さ。
法的義務は一切ないのに事実上は参加が義務になっており、参加しないと変わり者扱いされたり、子どもがいじめられることもあること。
しかも、仕事は上からの命令というよりも、「保護者間の相互的拘束」によりもたらされること。
PTAで心身に深いダメージを受ける人が少なからずいて、なかには入院したりする人もいること。

これらの話をすると、「ここまでのものとは思っていませんでした」と彼女は本当に驚き、

「日本はこれで大丈夫なのですか?」

「軍隊の話を聞いているようです。」

「もっと常識的にみんなが生活できないのですか?」

と言うのである。


いや、日本人として返す言葉はありません(汗)。
それじゃあまずいと思って今活動していること、今、事態はいいほうに動きそうであることを話し、拙ブログやカワバタさんの著作、「素晴ら・修羅場」とそこに集う面々のことも伝えておいた。

なお、PTA問題にとても興味を示してくれ、いろいろな知り合いに聞いてみてくれるとのこと。
知り合いの中には小学校の低学年児の母親もいるそうだ。
入学するときに日本のように有無を言わせず組み込まれるのか?、押しつけられる仕事はあるのか?等、興味津々である。

あ、そうそう。
なぜ日本と韓国でこうも違うのかについてもひとくさり話し合った。その話は明日にでも。