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2010-01-26 19:16:16

関係性の中の「わたし」③ あいづち(その4)

テーマ:エビデンスとしての日本語
<留学生に聞く「あいづち」 中国・台湾、マレーシア篇>
(その3)でご紹介した韓国の学生の考えを聞いたとき、合わせて中国やマレーシアの学生にも、韓国の学生と同じ質問に答えてもらった(質問内容は(その3)をご参照ください)。

マレーシアの学生の回答
・米国と近いです。
マレーシアはほとんどあいづちがないです。
相手の話が終わるまでは返事をしない習慣があります。
途中で相手の話をじゃまするのは、相手に対して失礼な行動です。
マレーシアでは、相手の話を全部聞いて、最後に返事をするようにしないと失礼だと思われます。
相手の集中力を取らないように聞き手はただ黙って相手の話を聞きます。

※う~ん、マレーシアは、ことあいづちに関しては、やはり日本とは対照的なようですね(その2冒頭参照)。いずれご紹介したいと思っているが、日本語の特徴の一つとされる「配慮表現」に関しては似たものを多く持つとのことなのですがね。

台湾の学生の回答
・台湾人の性格は明るいので、米国に近いと思う。

・あいづちに関しては、米国に近いか日本に近いかはっきりしないように思う。
目上の人と話す時はちゃんと話しを聞くため、なにもしないで聞きます。
友達と話す時は、お互いあいづちを打ちながら話していきます。

※二人目の学生の回答は韓国人のあいづちの特徴と言われるものに近いように思う。

中国の学生の回答
・どちらかと言うと米国に近いかもしれない。すこしあいづちを打ちますが、日本人みたいにいちいちあいづちを打つことはあまりしない。
中国では、韓国と違って、目上の人に対してちゃんといちいち返事をする。中国人がよくあいづちを打つのはその時だと思う。
中国ではいちいち返事をするのは丁寧だと思われていて、いいことです。性格が丁寧な人はよくあいづちを打ち、特に目上の人にはよく打ちます。
いっぽう、友達同士はしないです。家族の間でもしないです。
なぜか分からないですが、(親しい間柄で)いちいち返事をすると変な感じです。

※親しい間柄ではあいづちがよく使われるが、目上に対しては使われなくなるという韓国とは正反対のことが述べられていて、興味深い。


・米国に近いと思います。中国ではていねいに人の話を聞いているときに、いちいち「はい」とか「ええ」とか言葉をあまり返しません。それよりちゃんと目をあわす方が大事です。
一つのことを言い終わりまで聞いて、自分が認めるところで時々あいづちを打ちますが、いちいちあいづちを打つと、丁寧に聞いているというより、ごまかしているような雰囲気が出てしまう可能性があります。

※この学生は、アンケートに答えるに際して読んでもらったあいづちについての文章中の「いちいち返事をしないと、相手の日本人は不安になるらしい。『もしもし、聞こえますか』とか『わかりますか』などと聞き返す。すると、外国人は自分の日本語が下手なのかと心配になってしまう。」という部分にいたく我が意を得たようで、病院に行った時に、よくお医者さんから「聞こえていますか?」、「分かりづらいですか?」と言われ、「自分はよく理解できているつもりなのになんでそんなことを聞かれるのだろう?」と釈然としていなかったが、この文章を読んでそのようにお医者さんから言われた理由がよく分かったと話していた。


香港出身の二人の学生の回答も紹介しよう。 
・よく分かりませんが、米国に近いかもしれません。相手の話しを聞いてから返事をする場合が多いからです。途中で返事をしたら逆に話し手の邪魔をすることになりかねません。確かに、反応することで「私は聞いてます」と伝えられまかず、黙って耳を傾けるほうがマナーがよいと思われます。

・私の国のあいづちは米国と近い。人は話が終わったらその時あいづちを打ちます。香港はもともと英国の植民地であり、英国の影響を受けています。
しかし、一部の香港人はほかの外来文化の影響を受けて、あいづちのしかたも日本に近くなってきました。


以上の報告では、今回のアンケート調査に協力してくれたすべての学生の回答を紹介しました。